「非常食を買い込んだのに、気づいたら賞味期限が切れていた」「ローリングストックを始めたけど、3か月で挫折した」——そんな経験はありませんか。
ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買っておき、食べたら食べた分だけ買い足すことで、常に一定量の食品を家に備蓄しておく方法です。政府広報オンラインでも紹介されている、いま主流の備蓄スタイルです。
理屈はシンプルなのに、なぜ続かないのか。実は、続かない人の多くが同じ「3つの誤解」にはまっています。
誤解1: 「非常食=特別な食品」だと思っている
いちばん多いのがこれです。乾パンや5年保存の非常食セットをまとめ買いし、押し入れの奥にしまい込む。特別な食品は普段の食事に登場しないので、入れ替えのタイミングが来ません。結果、5年後に賞味期限切れの山と対面することになります。
ローリングストックの主役は、むしろ「いつも食べているもの」です。レトルトカレー、パックごはん、缶詰、カップ麺、乾麺、フリーズドライのスープ。普段の食卓に出るものなら、自然に消費されて自然に入れ替わります。
長期保存の非常食を否定するわけではありません。持ち出し袋用など「動かさない備え」と、日常で回す「動かす備え」を分けて考えるのがコツです。
誤解2: 「きっちり管理しなければいけない」と思っている
エクセルで在庫表を作り、賞味期限を全部書き出して……という完璧な管理を目指すと、更新が追いつかなくなった瞬間に全部が嫌になります。
続けるコツは、管理のハードルを下げることです。
- 置き場所を1〜2か所に集約する(分散させると把握できなくなります)
- 期限の近いものを手前に置く「先入れ先出し」だけ守る
- 月に1回、「防災食を食べる日」を決めて、食べた分だけ買い足す
「毎日きちんと」ではなく「月1回ざっくり」で十分回ります。3月1日・6月1日・9月1日・12月1日は「防災用品点検の日」とされているので、季節ごとの総点検日として使うのもおすすめです。
誤解3: 「量は多ければ多いほど良い」と思っている
張り切って大量に買い込むと、収納を圧迫し、管理しきれず、期限切れを量産します。まずは公的な目安を知りましょう。
農林水産省のガイドでは、大規模災害に備えて最低3日分、できれば1週間分の食料と水の備蓄が推奨されています。水は飲料用・調理用として1人1日3リットルが目安です。大人1人なら、水は3日分で9リットル、1週間分で約21リットル。まずは3日分から始めて、無理なく1週間分へ増やしていくのが現実的です。
まとめ: 「がんばらない仕組み」が最強の防災
ローリングストックが続かないのは、意志が弱いからではなく、仕組みが「がんばり前提」になっているからです。
- 普段食べるものを主役にする
- 管理は月1回ざっくりでOK
- まず3日分、慣れたら1週間分
この3つに絞れば、今日からやり直せます。最初の一歩には、家にあるレトルトや缶詰を1か所に集めて、期限を眺めてみることから始めてみてください。買い足し用のパックごはんやレトルト食品は、味の好みで選ぶのが長続きの秘訣です。
なお、「期限をいちいち覚えていられない」という人は、道具に任せるのが早道です。備蓄の期限管理には、賞味期限が近づくとお知らせが届くWebアプリ『備蓄めぐり』もどうぞ。
出典
- 政府広報オンライン「今日からできる食品備蓄。ローリングストックの始め方」 https://www.gov-online.go.jp/article/202103/entry-10236.html
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(備蓄の目安:最低3日分〜1週間分、水1人1日3リットル)」 https://www.maff.go.jp/j/pr/annual/pdf/syoku_bichiku_2.pdf
- 東京消防庁「防災の日と二百十日(防災用品点検の日)」 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/elib/qa/qa_59.html