会議の締めくくりやスピーチ、昇進の挨拶。ここぞという場面でぴたりとはまる四字熟語を使えると、言葉に重みが出ます。とはいえ、難しい熟語をやみくもに並べると逆効果。今回は、ビジネスの場で自然に使えて、なおかつ「お、この人は言葉を知っているな」と思わせる四字熟語を6つ、由来のエピソードとともに紹介します。
1. 切磋琢磨(せっさたくま)
仲間同士で励まし合い、競い合いながら互いを高めること。もとは中国最古の詩集『詩経』にある表現で、骨や象牙を切って磋(みが)き、玉や石を琢(う)って磨く、という職人の手仕事の工程を人間の修養にたとえたものです。「同期と切磋琢磨してきた10年でした」のように、競争相手への敬意を込められるのがこの言葉の良いところです。
2. 捲土重来(けんどちょうらい)
一度敗れた者が、土煙を捲き上げるような勢いで再び盛り返してくること。「けんどじゅうらい」とも読みます。唐の詩人・杜牧が、垓下の戦いに敗れた項羽を偲び、「もし再起を図っていたらどうなっていたか分からないのに」と詠んだ詩に由来するとされています。失注やコンペ敗退の後、「捲土重来を期して準備し直します」と言えば、悔しさと闘志を品よく表現できます。
3. 快刀乱麻(かいとうらんま)
もつれにもつれた問題を、鮮やかに解決すること。正しくは「快刀乱麻を断つ」で、よく切れる刀でもつれた麻糸の束をすぱっと断ち切る様子から来ています。昔の中国で、絡まった麻糸の整理を命じられた兄弟のうち、一人だけが刀で断ち切って「乱れたものは斬るべし」と答えた、という故事に由来するという説があります。複雑な案件を見事にさばいた同僚を「快刀乱麻の働きだったね」と労うと、褒め言葉として格が上がります。
4. 初志貫徹(しょしかんてつ)
最初に心に決めた志を、最後まで貫き通すこと。派手さはありませんが、長期プロジェクトの節目や、周囲の反対を押し切って挑戦を続けるときに口にすると、覚悟が伝わる言葉です。似た言葉に「首尾一貫」がありますが、こちらは「最初から最後まで矛盾がないこと」で、意志の強さを語るなら「初志貫徹」が適役です。
5. 率先垂範(そっせんすいはん)
人の先頭に立って行動し、自ら手本を示すこと。「率先」は先んじて行うこと、「垂範」は模範を垂れる、つまり示すことです。管理職の心構えとしてよく引かれる言葉で、「まず自分がやってみせる」というリーダーシップの型を四文字で言い切れます。部下に語るより、自分の行動指針として静かに実践するのが格好いい使い方です。
6. 不言実行(ふげんじっこう)
あれこれ言わずに、なすべきことを黙って実行すること。宣言や自己アピールではなく、結果だけで語るスタイルです。対極にあるのが「巧言令色(こうげんれいしょく)」。言葉を飾り、愛想よく取り繕うばかりで誠実さに欠けることを指し、『論語』の「巧言令色、鮮(すく)なし仁」という一節に由来します。口が達者なだけの巧言令色より、黙って成果を出す不言実行。自己PRの場では「不言実行タイプです」と言うより、日頃の仕事ぶりで示したいところです。
使うときのコツは「ここぞの一発」
四字熟語は料理のスパイスのようなもので、振りかけすぎると鼻につきます。メールや挨拶の中で、いちばん伝えたい一文にだけ添えるのがコツ。また、読み方を間違えると台無しなので(「捲土重来」は特に注意)、声に出す前に一度確認しておくと安心です。由来の物語ごと覚えておけば、仕事でも雑談でも使えて、まさに一挙両得(いっきょりょうとく)。1つの行動で2つの利益を得られる知識になります。
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