台風や大雨のニュースで「警戒レベル4」「高齢者等避難」といった言葉が流れます。なんとなく危ないことは伝わるけれど、自分がいま家を出るべきなのかどうかは、意外と分からないままではないでしょうか。

台風や大雨が増える季節を前に、5段階の警戒レベルの意味を整理しておきましょう。まず押さえたいのは、危険な場所にいる人は、レベル4までに避難するということです。

5段階の警戒レベル

警戒レベルは、災害の危険度と、住民がとるべき行動を5段階で示すものです。数字が大きいほど危険が高まります。まず「自分は何をすればいいのか」から見てください。

  • レベル1: 災害への心構えを高める
  • レベル2: 自らの避難行動を確認する
  • レベル3「高齢者等避難」: 高齢者等は危険な場所から避難する
  • レベル4「避難指示」: 危険な場所から全員避難する
  • レベル5「緊急安全確保」: 命の危険。直ちに安全を確保する

「誰が出すのか」は2種類あります

レベル3「高齢者等避難」、レベル4「避難指示」、レベル5「緊急安全確保」は、自治体が発令する避難情報です。

一方で、気象庁などは避難の判断材料になる防災気象情報を発表します。2026年5月29日から、この防災気象情報が新しくなりました。 情報の名前にレベルの数字が付き、避難情報の5段階と対応が分かるようになっています。

新しくなったのは、情報の名前の頭にレベルの数字が付いたことです。気象庁は例として、こう説明しています。

これまでの大雨警報は、「レベル3大雨警報」という名称に変更になり、レベルの数字と一緒に情報が伝えられます

つまり、テレビやスマホで「レベル◯」と数字から始まる情報名を聞いたら、それが避難の判断材料です。数字を聞き取れれば、その情報が何なのかを知らなくても、自分が動くべきかどうかは分かります。

気象庁は続けて、レベル4やレベル3の情報が出たら、キキクル(危険度分布)や河川の水位情報を確認して早めに避難するよう呼びかけています。

※ レベルごとの情報名をこちらですべて一覧にはしていません。気象庁の資料で確認できたのは上の「レベル3大雨警報」の例までで、確認できていない名前をこちらで並べると、かえって間違いのもとになるためです。お住まいの地域で実際に出る情報名は、気象庁のページ(下記出典)でご確認ください。

大事なのは、自治体の避難指示がまだ出ていなくても、防災気象情報などを使って自ら避難を判断する必要があるということです。 レベル3・レベル4に相当する防災気象情報、キキクル(危険度分布)、川の水位などを見て、危ないと思ったら動いてください。

まず覚えること:「危険な場所にいる人は、レベル4までに避難」

首相官邸の案内でも強調されているとおり、危険な場所にいる人は「警戒レベル4」までに避難する——これが出発点です。案内には「警戒レベル5を待つことなく、警戒レベル4までに避難することが必要です」とも書かれています。

ただし、判断すべきことは一つではありません。 自分の家が危険な場所かどうか、避難に時間がかかるかどうか、自治体の情報を待たずに動くべきかどうか。順に見ていきます。

なぜレベル5ではないのか。レベル5「緊急安全確保」は、すでに災害が発生、または差し迫った状況で出されるものです。この段階では、安全に避難所までたどり着けるとは限りません。外に出ること自体が危険になっている可能性があります。

つまりレベル5は「避難の合図」ではなく、避難が間に合わなかった人が、その場で少しでも安全を確保するための段階です。だからこそ、レベル5を待たず、レベル4までに避難を終えている必要があります。

レベル3を「自分ごと」にする

見落とされがちなのがレベル3「高齢者等避難」です。名前のせいで「うちには高齢者がいないから関係ない」と受け取られがちですが、公式の案内が対象としているのは、避難に時間がかかる人と、その支援をする人です。

  • 高齢の家族と暮らしている
  • 小さな子どもがいて、移動に時間がかかる
  • けがや持病で歩くのに時間がかかる

こうした家庭では、レベル3が実質的な避難開始の合図になります。レベル4まで待つと、状況がさらに悪化し、安全な移動が難しくなるおそれがあります。

ペットを連れて避難する家庭も、準備に時間がかかることがあります。ただし、ペットがいることは公式のレベル3の区分に一律に含まれるわけではありません。個別の避難計画として、いつ動きはじめるかを平時に決めておいてください。

なお、レベルは順番どおりに上がるとは限りません。急な大雨では、レベル3を経ずにレベル4が出ることも、レベル4より先に災害が起きることもあります。数字が上がるのを待つ姿勢そのものが危険になりうる、と考えておいてください。

避難するかどうかは、平時に決めておく

当日の判断は、平時に基準を決めておくとしやすくなります。まず確認しておきたいのは、次の3つです。

  1. 自宅と周辺に、洪水・内水・土砂災害などの危険があるか(ハザードマップで確認する)
  2. 立退き避難が必要なら、安全な避難先と複数の経路はどこか(夜や大雨で通れない道を避ける)
  3. いつ動くか。自治体の避難情報がなくても、何を見て判断するか(防災気象情報、キキクル、川の水位など)

この3つを紙に書いて貼っておけば、当日は迷う時間が減ります。ハザードマップの読み方はハザードマップの見方にまとめています。

自宅に留まることも「避難行動」です

自宅に留まるのは「避難しないこと」ではありません。条件を満たす場合の屋内安全確保という避難行動です。備蓄があるだけでは選べません。

首相官邸の案内は、浸水の危険があっても自宅に留まって安全を確保できる条件として、次の3つを挙げています。

  1. 洪水により家が倒れたり、崩れたりしてしまうおそれがある区域(家屋倒壊等氾濫想定区域)に入っていないこと
  2. 浸水する深さよりも高いところに部屋があること
  3. 水がひくまで我慢でき、水・食糧などの備えが十分にあること

土砂災害の危険がある区域では、立退き避難が原則です。

避難先は、市町村が指定する指定緊急避難場所だけではありません。安全な親戚・知人宅、ホテル・旅館なども選べます。その時点で外に出るほうが危険なら、近くの頑丈な建物の上の階などで安全を確保することもあります。

3つの条件を満たして自宅に留まる場合の備えは、家族の人数を入れるだけで必要量と不足分が分かるそなえ計算室で確認しておきましょう。

市区町村から呼びかけがあれば、それに従ってください。ただし、避難情報が出ていないことは「安全」を意味しません。 防災気象情報やキキクル、川の水位、そして周囲の状況。危ないと感じたら、発令を待たずに自分の判断で動いてください。 自ら情報を確認し、主体的に判断することが大切です。

出典・確認資料(2026年8月20日確認)

  • 首相官邸「防災気象情報と警戒レベル」 kantei.go.jp — 警戒レベル3「高齢者等避難」=避難に時間がかかる高齢者や障がい者などは危険な場所から避難、レベル4「避難指示」=対象地域の方は全員速やかに危険な場所から避難、レベル5「緊急安全確保」=直ちに命を守る行動をとること、および「警戒レベル5を待つことなく、警戒レベル4までに避難することが必要です」の記述。本記事では、このページからは住民がとるべき行動のみを引用しています(防災気象情報の名称は2026年5月29日に変わったため、名称の一覧は気象庁の2026年ページによります)
  • 気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」 jma.go.jp — 「2026.5.29 新たな防災気象情報の運用を開始しました!」と記載。防災気象情報の名称にレベルの数字が付く新しい体系になったこと
  • 気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」 jma.go.jp — 「危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル4や高齢者等の避難が必要とされる警戒レベル3に相当する防災気象情報」と記載。避難情報より先に防災気象情報が発表される場合があること
  • 首相官邸「避難はいつ、どこに?」 kantei.go.jp — 浸水の危険があっても自宅に留まって安全を確保できる条件として「①洪水により家が倒れたり、崩れたりしてしまうおそれがある区域(家屋倒壊等氾濫想定区域)に入っていないこと ②浸水する深さよりも高いところに部屋があること ③水がひくまで我慢でき、水・食糧などの備えが十分にあること」の3つを挙げていること。および避難先として「市町村が指定した各災害に対応した避難場所への避難や、安全な場所にある親戚・知人宅への避難などが考えられます」と記載していること。本文の3条件は、このページの原文で確認しました
  • 内閣府(防災担当)「避難情報に関するガイドラインの改定(令和8年3月)」 bousai.go.jp — 令和8年3月改定版のガイドラインと「避難行動判定フロー」の掲載元。「令和6年6月に取りまとめられた『防災気象情報に関する検討会』の提言を踏まえ、令和8年5月下旬から新たな防災気象情報の運用が開始されることにあわせ」と記載
  • 内閣府(防災担当)「避難行動判定フロー」 bousai.go.jp — 上記3条件の原典にあたる資料。こちらの環境では文字が化けて読み取れなかったため、本記事はこのPDFを根拠にしていません。3条件は、上記の首相官邸ページの原文で確認しています
  • 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」 disaportal.gsi.go.jp — 浸水想定区域や土砂災害警戒区域を地図で確認できること

台風の接近や大雨が特定の月に集中するかどうかについては、本文で件数の断定はしていません。

参考にした記事