水も食料もそろえた。カセットコンロもある。これで在宅避難は万全——と思いきや、実際に断水・停電が続く家で暮らしてみると、備蓄リストに載りにくい部分でつまずきます。

手が洗えない。ごみが出せない。何が起きているのか分からない。この3つです。水や食料をそろえた後に、見落としやすい衛生・ごみ・情報の備えも確認しておきましょう。

衛生: 「手が洗えない」は思ったより効く

断水中は、水道で手を洗えません。厚生労働省も災害時の感染症対策として、「自分がかからない」ように手洗いを、かかっても「他人にうつさない」ために咳エチケットをと呼びかけており、流水で手洗いできない場合の手指消毒についての資料も公開しています。

在宅避難では、次のものが効きます。

  • アルコールを含む手指消毒薬(流水で手洗いできないときに。食事前・調理前・トイレ使用後はとくに意識する)
  • ウェットティッシュ(身のまわりや皮膚の汚れを拭く用途。一般の製品を手指消毒薬の代わりにはしない)
  • 体拭きシート、ドライシャンプー
  • 食器にかぶせるラップやポリ袋(洗い物そのものを減らす)

とくに調理と食事の前後は、感染症だけでなく食中毒を防ぐうえでも重要です。断水中は、使い捨ての食器やラップなども活用して洗い物と水の使用量を減らし、調理前・食事前・トイレ使用後の手指衛生は別に確保するのがコツです。

なお、体調をくずしたときの対処や薬の扱いについては、自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師、自治体の相談窓口にご相談ください。

ごみ: 収集が止まると、家の中にたまり続ける

見落とされがちなのがごみです。災害時は、通常のごみ収集が一時停止する場合があります。再開まで自宅で保管できる場所と容器を平時に決めておき、災害時は自治体の最新の案内に従います。

とくに問題になるのが、使用済みの携帯トイレです。自宅のトイレが使えず、すべての排泄を携帯トイレでまかなう場合、備蓄の目安とされる「1人1日5回」で計算すると、4人家族の1週間分は140回分。袋の数は製品ごとの使い方によっても変わりますが、これがそのまま「保管すべきごみ」になります。

使用後は、製品の説明に従って凝固剤などで水分を固め、排便袋の中の空気を抜いて口をしっかり縛ります。さらに、もう一枚の袋で二重にするか防臭袋に入れ、ふた付きの容器などで収集再開まで保管します。排出方法や分別は自治体ごとに異なるため、災害時の最新の案内を確認してください。

  • ふた付きのバケツやポリ容器を用意しておく(においと衛生の対策)
  • 防臭袋も備えておくと、保管中のにおいを抑えやすくなります
  • 屋外に置ける場所があるなら、直射日光を避けて保管する
  • 自治体の災害時のごみ出しルールを平時に確認しておく(分別方法や仮置き場が通常と変わることがあります)

生ごみは可能な範囲で水分を切り、新聞紙などで包む方法もあります。災害時の分別・排出方法は、自治体の最新の案内を優先してください。

情報: 電池を食わない手段を用意しておく

停電が続くと、スマホの電池は貴重品になります。すべての情報をスマホで取ろうとすると、いざというときに通信手段を失います。

  • 電池式ラジオ(スマホの電池を使わずに広域情報を受けられる。予備の電池もいっしょに備える)
  • 手回し充電ラジオ(製品の説明に従って充電し、平時に受信できるか試しておく)
  • 自治体の防災無線、広報車の巡回
  • スマホは低電力モードや画面の明るさ調整を使い、連絡と、自治体の避難・給水情報の確認に必要な電力を残す

SNSは速報性が高い一方、誤情報も混じります。SNSだけで判断せず、自治体や気象庁など発信元がはっきりした情報を軸に、対象の地域、発表の時刻、更新の状況を確かめると、誤情報に左右される危険を減らせます。

「何日もつか」を数字で確認しておく

衛生用品もごみ袋も、消耗品です。水と食料だけを数えていると、こうした品目が真っ先に尽きます。

家族の人数を入れるだけで、水・食料・携帯トイレなどの必要量と不足分が分かる「そなえ計算室」で、いまの充足度を確認してみてください。買い足すものリストは印刷して持ち出せます。買った備蓄は「備蓄めぐり」に登録しておくと、期限が近い順に並び、開いたときに色分けで期限切れ・期限間近が分かります。


出典

  • 厚生労働省「災害時における避難所での感染症対策」(「自分がかからない」ように手洗いを、「他人にうつさない」ために咳エチケットを/流水で手洗いできない場合は手指消毒についての資料を掲載。2026年8月31日 確認) mhlw.go.jp
  • 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(「トイレの平均的な使用回数は、1日5回」/便袋は「吸水シートや凝固剤で水分を安定化させる」を確認。2026年8月31日 確認) bousai.go.jp
  • 出典:気象庁ホームページ「あなたの街の防災情報」(本文で、発信元のはっきりした情報源の例として挙げたページ。2026年8月29日 確認) jma.go.jp
  • 東京都台東区「『携帯トイレ』を備蓄しましょう」(使用後は「排便袋のみを取り出し、中の空気を抜いてしっかりと口を縛ります」/自宅で保管する際は「蓋つきの容器に入れるなど、防臭対策をしましょう」を確認。2026年8月31日 確認) city.taito.lg.jp
  • 東京都西東京市「災害時のトイレ対策について」(「汚物は凝固剤などで固めてから袋を二重にしてゴミに出す」/自宅で一時保管する際は「袋を二重にするほか、消臭袋の使用または蓋つきのバケツの中での保管を」を確認。2026年8月31日 確認) city.nishitokyo.lg.jp