お盆に実家へ帰る予定はありますか。もしあるなら、手土産と一緒に持って帰りたいものがあります。「実家の防災を見る目」です。
電話だけでは、備蓄の量や期限、家具の配置まで確認しにくいことがあります。「備蓄ある?」「あるある」で終わってしまうからです。実際に台所や収納、寝室を一緒に見られる帰省は、防災チェックのよい機会。この記事では、親と一緒に見ておきたい5つのポイントをまとめます。
1. 備蓄の「量」と「期限」を実際に見る
まず、水と食料の現物確認です。目安は最低3日分、できれば1週間分。水は1人1日3リットルです。
長く保管したままの備蓄が、押し入れの奥に眠っていることもあります。確認したいのは、消費期限・賞味期限のどちらか、未開封か、表示どおりに保存できていたか、容器に膨張・漏れ・さびなどの異常がないかです。消費期限(過ぎたら食べない方がよい期限)を過ぎた食品や、異常のあるものは食べません。賞味期限(おいしく食べられる期限)が近いものは、状態を確認したうえで「これ今夜みんなで食べよう」と帰省中の食卓に取り入れ、使った分を買い足すのが角の立たないやり方です。
なお農林水産省は、防災備蓄用の水について、賞味期限を過ぎても一律に飲めなくなるものではないと案内しています。表示と保存状態を確認して判断しましょう。
2. 「親仕様」の備蓄になっているか
農林水産省は、高齢者や慢性疾患のある人などに向けた「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」を公開しています。高齢の親の備蓄は、量だけでなく中身の確認が大切です。
- 硬い乾パンより、おかゆ・やわらかいレトルトなど、親がいま食べやすいもの
- 入れ歯や飲み込みの状態に合った食品
- 常備薬・お薬手帳の場所の確認(薬の内容や量については、かかりつけの医師・薬剤師への相談を勧めてください)
- カセットコンロと、それに指定されたボンベがあるか。ボンベは缶底の製造年月日を確認し、製造から約7年以内を目安に使い切る(メーカーの岩谷産業が示している目安です。内部のゴム部品が経年で劣化してガス漏れのおそれがあることは、製品評価技術基盤機構(NITE)も注意喚起しています)。表示のないもの、変形・さびのあるものは使わず、保管・廃棄は表示と自治体のルールに従う
3. 家の中の「倒れるもの・落ちるもの」
備蓄と並んで見たいのが、寝室と居間です。地震では、家具類の転倒・落下・移動がけがや避難経路をふさぐ原因になります。
- 寝床の近くに倒れてくる家具はないか
- 廊下や出口をふさぐ物はないか
- 枕元にライトとスリッパ(ガラス片対策)はあるか
帰省中なら、家具の配置の見直しから一緒にできます。固定が必要な場合は、家具・壁・天井に合った器具を取扱説明書どおりに使ってください。壁に固定するときは間柱などの下地を確認する必要があり、賃貸住宅では管理者への相談も必要です。自分で安全に施工できないときは、自治体の支援制度や専門業者も検討しましょう。
4. 避難先とハザードマップを一緒に確認
実家の地域のハザードマップを、親子で一度も見たことがない家庭は多いはずです。まず自治体のハザードマップで、洪水・土砂災害など災害ごとに実家の危険性を確認しましょう。
危険な場所にいて避難に時間のかかる高齢者や障害のある人、その支援者は、自治体から警戒レベル3「高齢者等避難」が発令された段階で避難します。一方、ハザードマップで自宅が安全だと確認できる場合は、自宅にとどまる(屋内安全確保)という選択もあります。年齢だけで一律に決まるものではありません。
災害の種類に応じた指定緊急避難場所(命を守るために逃げ込む場所)と経路、避難のタイミングを、自治体の情報に沿って話し合っておきましょう。
5. 連絡手段を決めて、帰省中に「練習」する
災害時、実家と連絡が取れない数時間の不安は相当なものです。NTTの災害用伝言ダイヤル171の使い方を、帰省中に親と一緒に練習しておきましょう。171は毎月1日・15日などに体験利用ができます。8月15日はちょうどお盆。家族であらかじめ決めた電話番号(実家の固定電話や携帯電話など)をキーにして、家族全員で伝言を残す・聞く練習をするには絶好の日です。
ただし、災害が発生しているときなどは体験利用ができない場合があります。利用条件は当日にNTTの案内で確認してください。
帰省後も「見える」仕組みを残す
帰省チェックの弱点は、次に確認できるまで間が空くことです。そこで、帰省中に実家の備蓄を「そなえ計算室」で計算し、不足リストを印刷して親に渡しておくと、あなたが帰った後も買い足しの指針が残ります。実家の備蓄の期限を、あなたの端末の「備蓄めぐり」に控えておけば、期限が近い順に並ぶので、「そろそろ水を買い替えたら?」と電話する目安にもなります(データは端末の中にだけ保存され、親子の端末間で共有されるわけではないので、控えは自分の端末で持っておくのがコツです)。防災の話は、家族の会話のきっかけにもなるのです。
出典
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(このページで「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」(平成31年3月)を公開。乳幼児・高齢者・慢性疾患・食物アレルギーの方に向けた家庭備蓄の情報。2026年7月25日 確認) maff.go.jp
- 農林水産省「家庭備蓄ポータル」 maff.go.jp
- 農林水産省「防災備蓄用の水は賞味期限が切れたら使用できなくなりますか。」(2026年8月4日 確認) maff.go.jp
- 消費者庁「食品の期限表示に関する情報」 caa.go.jp
- 内閣府「避難情報に関するガイドラインの改定(令和8年3月)」(2026年8月4日 確認) bousai.go.jp
- 内閣府「やってみよう!家具固定 第2回」(下地(間柱・胴縁)を確認して固定する。2026年8月4日 確認) bousai.go.jp
- 岩谷産業「カセットこんろの使用期限・カセットボンベの使用期限と処理方法」(「カセットボンベは、製造から約7年以内の使い切りが目安です。」と明記。カセットボンベの製造元による製品情報。2026年8月4日 確認) iwatani.co.jp
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「カセットボンベ『3.経年劣化によるガス漏れ』」(ゴム部品の経年劣化によるガス漏れへの注意喚起。年数の記載はありません。2026年8月4日 確認) nite.go.jp
- 国民生活センター「カセットボンベの保管期間にご注意を!」(2026年8月4日 確認) kokusen.go.jp
- NTT西日本「体験利用のご案内 災害用伝言ダイヤル(171)」 ntt-west.co.jp