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備蓄の記事はたいてい「水は1人1日3リットル」で終わります。でもこの3リットルは、飲み水と調理用の量です。

断水では、飲み水と調理用の水に加えて、トイレや掃除などに使う「生活用水」も必要になります。トイレ、手洗い、食器洗い——こうした用途は、飲む量よりはるかに多くの水を使います。まず飲み水をきちんと確保したうえで、この見落とされがちな備えを足していきましょう。今回は、その生活用水の備えを扱います。

備え1: 水道水をくみ置きする(正しいやり方がある)

いちばん手軽な備えが、水道水のくみ置きです。ただし、やり方を間違えると早く傷みます。東京都水道局の案内では、次のように説明されています。

  • 清潔でフタのできる容器に入れる
  • 空気に触れないよう、口元まで一杯に注ぐ
  • 沸かさないこと。沸かすと消毒用の塩素が抜けてしまうため、必ず蛇口からそのまま注いで保存する
  • 飲むときは容器に直接口をつけず、コップに注ぐ

保存できる期間の目安は、常温で3日程度、冷蔵庫なら10日程度(塩素の消毒効果が持続する期間)とされています。

そして重要なのが出口です。保存期間を過ぎた水は捨てず、トイレなどの生活用水に回します。これがくみ置きを無駄なく続けるコツです。「3日ごとに入れ替え、古い水は洗濯やトイレへ」と決めておけば、常に新しい水が家にある状態を保てます。

備え2: お風呂の水を張っておく

もっと簡単なのが、お風呂の残り湯をすぐに流さないことです。浴槽には多量の水をためられます(容量は製品によって違うので、お使いの浴槽で確認してください)。自治体の案内でも、風呂水のため置きは消火用水やトイレの流し水など生活用水として利用できるとされています。

ただし用途には線を引いてください。残り湯は衛生状態が一定ではありません。飲用・調理・手洗い・体を拭くことには使わず、トイレ洗浄や掃除などの生活用水に限って使ってください。

そして、小さな子どもがいる家庭では、浴槽の水は溺れる事故につながります。消費者庁は「子どもが小さいうちは、入浴後は浴槽の水を抜くことを習慣にしましょう」と呼びかけています。ため置きより事故予防が優先です。子どもが小さいうちは浴槽にためるのはやめて、ふた付きのポリタンクなど、子どもが触れない場所に生活用水を用意する方法に切り替えてください。浴室に子どもだけで入れないよう、ドアに外鍵やベビーゲートを設けるのも有効です。

もう1つは、地震のあとのトイレです。下水道や建物内の排水管が壊れている可能性があるため、自治体や管理会社などから「使ってよい」という案内が出るまでは水を流さず、携帯トイレを使ってください。東京都下水道局は、配管が破損していると汚水が逆流したり噴出したりすることがあり、特に集合住宅では下の階へ汚水が逆流する場合があると注意を呼びかけています。

備え3: 給水を受けに行く準備をしておく

断水が長引けば、給水を受けに行くことになります。東京都では、断水時に飲み水を配る場所を「災害時給水ステーション(給水拠点)」と呼び、場所を公開しています。同様の給水拠点は各自治体が定めていますので、平常時のうちに、自宅から一番近い場所を調べておきましょう。「断水してから探す」では出遅れます。

そして意外な落とし穴が、運ぶ道具です。水は1リットルで約1キロ。10リットルなら約10キロになります。無理なく運べる量は、体力・道路の状況・容器によって大きく変わります。一度実際に運んでみて、自分に合う方法を用意しておきましょう。

  • リュック型の給水袋(背負えると段違いに楽になります)
  • キャリーカートや台車
  • 折りたたみポリタンクは、使わないときに場所を取りません

高層階にお住まいなら、エレベーターが止まった状態で階段を上ることも想定しておく必要があります。

生活用水を「減らす」工夫も備えのうち

確保と同じくらい効くのが、使う量を減らす工夫です。

  • 食器にラップを敷く(食器を洗う回数を減らせます)
  • ウェットティッシュ、ドライシャンプー、体拭きシートを備えておく
  • 携帯トイレを使う(トイレを流す水がそもそも不要になります)
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「水を確保する」と「水を使わない生活に切り替える」の両輪で考えると、断水はぐっと乗り切りやすくなります。

飲料水を含めた必要量の計算は「そなえ計算室」でできます。まず飲む分を確保し、そのうえで生活用水の備えを足していきましょう。


出典

  • 東京都水道局「くみ置く際の留意事項」(清潔でフタのできる容器・口元まで一杯・沸かさない・常温3日程度/冷蔵10日程度・期間経過後は生活用水へ。2026年8月9日 確認) waterworks.metro.tokyo.lg.jp
  • 東京都水道局「ご家庭での備え」(地震直後に役立つのはくみ置きした水。くみ替えた水は掃除や洗濯などへ。2026年8月9日 確認) waterworks.metro.tokyo.lg.jp
  • 東京都水道局「災害時に水を配る場所 ~災害時給水ステーション~」(2026年8月9日 確認) waterworks.metro.tokyo.lg.jp
  • 東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」(配管破損時の汚水の逆流・噴出、集合住宅では下の階へ逆流する場合がある、家のトイレが使えない場合は携帯用トイレ等を利用。2026年8月9日 確認) gesui.metro.tokyo.lg.jp
  • 消費者庁「御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください!」(子どもが小さいうちは、入浴後は浴槽の水を抜くことを習慣に。2026年8月9日 確認) caa.go.jp
  • 東大阪市「断水への備え」(風呂水のため置きは消火用水やトイレの流し水など生活用水として利用できる。小さいお子さまがいる家庭は事故に注意。2026年8月9日 確認) city.higashiosaka.lg.jp