地震の火災というと、揺れの最中に起きるものを想像しがちです。しかし地震火災は地震直後だけでなく、停電後の復電時など、時間がたってから起こることもあります。その一つが「通電火災」です。

過去の大規模地震では「電気関係」が過半数

総務省消防庁の資料によると、平成7年の阪神・淡路大震災では139件の地震火災のうち85件(約6割)が、平成23年の東日本大震災では108件のうち58件(約54%)が電気に起因する火災だったとされています。

これらは過去二つの大規模地震における集計であり、すべての地震にあてはまる割合ではありません。また電気火災には、揺れの最中に電気機器や配線から出火するものと、停電後の復電時などに時間差で出火する「通電火災」があります。

なぜ「時間差」で火事になるのか

地震の揺れで電気ストーブなどの電熱器具が転倒したり、プラグが半分抜けたり、コードが傷ついたりしても、その瞬間に発火するとは限りません。住民は避難のためにその場を離れ、しばらくして電力会社が送電を再開すると、倒れたままの器具や傷んだ配線に、再び電気が流れます。ここから出火するのが通電火災です。火元が「見えない状態」で放置されたまま、後から火がつくという点が厄介です。

感震ブレーカーの4タイプ

これを防ぐ機器が「感震ブレーカー」です。一定以上の揺れを感知すると、自動で電気を遮断します。ただし遮断する範囲は種類によって異なります

  • 分電盤タイプ(内蔵型): 分電盤にセンサーが組み込まれたもの。約5万〜8万円で、専門業者が設置するため作動の信頼性が高い。作動すると家全体の電気が一斉に止まる(電気工事が必要)
  • 分電盤タイプ(後付型): 既存の分電盤に外付け。約2万円。漏電ブレーカーが設置されている場合に取り付けられる(電気工事が必要)
  • コンセントタイプ: コンセントに設置する。約5,000円〜2万円。電気工事が不要なもの(差込型)と、必要なもの(埋込型)がある。遮断する範囲は製品によって異なる
  • 簡易タイプ: ばねやおもりの落下でブレーカーを落とす。3,000〜4,000円程度、電気工事不要で自分で取り付けられる。作動すると家全体の電気が一斉に止まる

価格はいずれも消防庁資料に示された目安です。実際の製品価格や工事費は、製品・住宅・時期によって変わります。購入前にメーカーの情報や見積もりを確認してください。

価格が手頃な簡易タイプは自分で設置できる分、取付状態によって作動の確実性にばらつきが出やすいとされます。既存の分電盤の形状によっては、取り付けが難しい場合もあります。一方、分電盤タイプは工事が必要な分、確実性が高いとされています。設置できるかどうかは、メーカーや電気工事業者に確認してください。設置したあとも、取扱説明書に従って定期的に作動を確認しておくと安心です。

設置してもしなくても、知っておきたい注意点

分電盤タイプや簡易タイプのように家全体の電気を一斉に遮断する機器が作動すると、夜間の地震では避難時の明かりが確保できなくなる可能性があります。一方、コンセントに設置するタイプは、どこまでの電気が止まるのかが製品によって異なります。接続した機器だけが止まるとは限りません。遮断される範囲と作動のしかたを、夜間の照明や医療機器への影響も含めて、購入前に取扱説明書やメーカーの情報で確認してください。停電時に自動で点く足元灯や懐中電灯は、感震ブレーカーの設置の有無にかかわらず備えておくと安心です。在宅で医療機器を使っている場合は、停電に対応できるバッテリーの準備も欠かせません。

感震ブレーカーを設置していない場合も、地震のあと自宅から避難するときに、身の安全を確保したうえでブレーカーを切ることは、電気火災の防止に有効だとされています。ただし、火や津波が迫っているときなど、急いで逃げなければならない場面では避難が最優先です。ブレーカーを切るためにその場へ戻ったり、避難を遅らせたりしないでください。

電気を戻すときも、確認してから

避難先から戻って電気を再開するときは、先にガス漏れがないこと電気製品やコードが壊れたり、倒れたり、濡れたりしていないことを確かめます。電気を戻したあとに焦げたような臭いがしたら、すぐにブレーカーを切ってもう一度確認し、原因が分からないときは電気の使用を見合わせてください。

家具の固定や備蓄と合わせて、電気まわりの備えも一度見直してみてはいかがでしょうか。


出典

  • 総務省消防庁「感震ブレーカーの普及推進に関する背景・目的」(資料3) fdma.go.jp
  • 総務省消防庁「感震ブレーカー」 fdma.go.jp