家の備えというと、家の「中」の話になりがちです。家具を固定する、備蓄を置く、持ち出し袋を作る。けれど敷地まわりのブロック塀も、所有者や管理者が日頃から安全を確かめたい場所です。
境界上などで所有関係が分からない場合は、隣地の所有者や管理者に確認し、自己判断で手を加えないようにします。
2018年6月18日の大阪府北部を震源とする地震では、塀の倒壊による被害が出ました。国土交通省はその3日後、既設の塀を所有者自身が点検するためのチェックポイントを作成し、公表しています。専門家でなくても、外から見て確かめられる形になっているのが特徴です。
見る前に、安全の確認から
先に、離れた安全な場所から傾き・ひび割れ・崩れがないかを見ます。異常が見える塀、地震後で余震のおそれがあるとき、強風などで安全を確保できないときは近づかず、触れたり押したり、上に乗ったりしないでください。
寸法を測るのは、異常が見えず、自宅敷地内など安全に作業できる範囲だけにします。道路へ出たり、隣地へ入ったりして測らないでください。
外から見て確かめる5つ
対象は、鉄筋の入ったブロック塀(補強コンクリートブロック造)です。まず外観で1〜5をチェックし、ひとつでも不適合がある場合や分からないことがあれば専門家に相談する、という流れになっています。
- 高さは、地盤から2.2メートル以下か
- 厚さは10センチ以上か(高さが2メートル超2.2メートル以下なら15センチ以上)
- 控え壁はあるか(高さが1.2メートルを超える場合。塀の長さ3.4メートル以下ごとに、塀の高さの5分の1以上突き出した控え壁)
- コンクリートの基礎があるか
- 傾きやひび割れはないか
控え壁というのは、塀の途中から直角に張り出している短い壁のことです。塀を横から支えるための部分で、言われて見ると「なぜここだけ出っ張っているのか」が分かります。
高さ・厚さ・控え壁は、安全に手が届く範囲なら巻尺で確認できます。基礎の有無、傾きやひび割れは目で確認します。これは専門診断の代わりではなく、ひとつでも不適合や不明点があれば専門家へ相談するための一次点検です。
高さ1.2メートルが、ひとつの分かれ目
3の控え壁も、あとで触れる基礎の深さも、高さ1.2メートルを超える塀について挙げられているものです。腰くらいの高さの塀と、目線を越える塀とでは、確かめるべきことが違います。
ここで挙げる寸法は、国のチェックポイントに沿って専門家へ相談するきっかけをつくるための目安です。数値が合うだけで塀全体の安全や法令への適合が確定するものではなく、数値から外れるだけで違法と断定できるものでもありません。 別紙2には、構造計算によって構造耐力上安全であることが特別に確かめられる場合は仕様基準によらないことができる、とも書かれています。
ここから先は、専門家に相談する部分
チェックポイントには、外観では分からない項目も挙がっています。
- 塀の中に直径9ミリ以上の鉄筋が、縦横とも80センチ間隔以下で入っているか
- 基礎の根入れの深さが30センチ以上あるか(高さ1.2メートル超の場合)
見えないところの話です。内部の鉄筋、モルタルの充填、劣化の具合は、外から見ただけでは分かりません。ひとつでも当てはまらない項目があったり、分からないことがあったりすれば、専門家に相談するという流れになっています。自分で判断しきらなくてよい、という区切りが最初から示されています。
れんがや石の塀は、基準が別
鉄筋の入っていないブロック塀、れんが造、石造の塀(組積造)は、数字が変わります。高さは1.2メートル以下、控え壁は長さ4メートル以下ごとに壁の厚さの1.5倍以上、基礎の根入れは20センチ以上です。
見た目だけでは、鉄筋の有無や構造の種類を判断できない場合があります。どちらの基準を見るべきか分からないときは、自己判断せず専門家へ相談してください。
危ないと分かったときのこと
国土交通省の通知は、点検の結果として危険性が確認された場合には、付近を通る人への速やかな注意表示等と、補修・撤去等が必要であると書いています。
ここは、読者自身が作業するところではありません。危険が疑われる場合は、無理に触れたり、自分で補修・撤去したりしないでください。安全な範囲で人が近づかないようにしたうえで、自治体の建築担当窓口や、建築士・専門工事業者へ速やかに相談します。道路上に物を置く、隣地へ入るといった対応も、自己判断では行いません。
相談先や補助制度は自治体によって異なります。全国一律ではないので、お住まいの自治体の建築担当窓口に確認してください。
まずは安全な場所から外観を確認し、異常が見えず安全に測れる範囲だけを確かめます。ひとつでも気になる点や分からない点があれば、無理に確かめず専門家へ相談してください。
出典
- 国土交通省住宅局建築指導課「建築物の既設の塀の安全点検について」(国住指第1130号)平成30年6月21日、別紙1「ブロック塀の点検のチェックポイント」・別紙2(通知本文・別紙1・別紙2を収めたPDF。平成30年6月18日の大阪府北部を震源とする地震による塀の倒壊被害を受けてチェックポイントを作成・公表した経緯、外観による点検項目についての「ひとつでも不適合がある場合や分からないことがあれば、専門家に相談しましょう」との記載、補強コンクリートブロック造の高さ2.2m以下・厚さ10cm以上[高さ2m超2.2m以下は15cm以上]・長さ3.4m以下ごとに高さの1/5以上突出した控え壁[高さ1.2m超の場合]・基礎の有無・傾き・ひび割れ、鉄筋は径9mm以上で縦横80cm間隔以下、基礎の根入れ30cm以上[高さ1.2m超の場合]、組積造は高さ1.2m以下・長さ4m以下ごとに壁厚の1.5倍以上突出した控え壁・根入れ20cm以上、別紙2の「構造計算により構造耐力上安全であることが特別に確かめられる場合は上記の仕様基準によらないことができる」との注記、危険性が確認された場合の付近通行者への注意表示等及び補修・撤去の必要。2026年9月8日 確認) mlit.go.jp
- 国土交通省「建築:ブロック塀等の安全対策について」(既設の塀の安全点検に関する案内ページ。2026年9月7日 確認) mlit.go.jp