物価の話題が尽きない昨今、昔の人がお金とどう付き合ってきたかを、ことわざから覗いてみましょう。お金のことわざや熟語には、時代や地域を越えて伝わってきたさまざまな知恵が詰まっています。セールの前に読むと、財布の紐がきゅっと締まるかもしれません。
安物買いの銭失い(やすものがいのぜにうしない)
安いからと飛びついて買うと、品質が悪くてすぐ壊れ、買い替えや修理でかえって高くつく、という戒めです。江戸いろはかるたにも収められています。現代の買い物にもそのまま通じますが、面白いのは「安くて良いもの」が増えた現代でも、この言葉が生き残っていること。値段だけを基準に選ぶ買い方への警告、と読むのが今風の解釈でしょう。セール価格に手が伸びたら、「使う回数」で割り算してから決めても遅くありません。
時は金なり(ときはかねなり)
時間はお金と同じくらい貴重だから無駄にするな、という意味です。これは日本古来のことわざではなく、アメリカの政治家・発明家ベンジャミン・フランクリンの「Time is money」の翻訳に由来するとされています。彼は若い商人への手紙でこの言葉を使い、時間を浪費することは稼げたはずのお金を捨てることだ、と説きました。日本では「時は金なり」と訳され、時間を大切にする教えとして広く使われています。
悪銭身につかず(あくせんみにつかず)
不正な手段で得たお金は、とかく無駄に使ってしまい、結局残らない、という意味です。得方のよくないお金は身につかない、という戒めとして使われます。あぶく銭ほど手元に残らない、という感覚は、今も昔も変わらないのかもしれません。
爪に火をともす(つめにひをともす)
爪に火をともして明かりにするほど、出費を惜しむ様子を表した言葉です。そこから、ひどく倹約することや、つましい暮らしをすることのたとえになりました。「爪に火をともすようにして学費を貯めた」のように、涙ぐましい節約の文脈で使います。賞賛にも皮肉にもなる言葉です。電気代の節約に苦心する現代の私たちも、あまり笑えないかもしれません。
損して得取れ(そんしてとくとれ)
目先の損を受け入れて、将来の大きな利益につなげよ、という商人の知恵です。無料サンプルや初回割引など、今日の出費を先々の利益につなげようとする施策にも通じる考え方です。大事なのは「損」が投資になっている計算があること。ただ安売りするだけでは、それこそ銭失いです。長い付き合いを見据えて今日は譲る、という判断の背中を押してくれる言葉です。
一攫千金(いっかくせんきん)
「一攫」はひとつかみ、「千金」は大金のこと。一度に、たやすく大きな利益を得る意味で使われます。「一攫千金を夢見て宝くじを買う」のように使います。夢のある響きの一方で、こつこつ蓄える生き方とは対照的な言葉です。
ことわざは庶民の家計簿
安物への警戒、時間の値段、悪銭の行方、倹約、先行投資。並べてみると、そのまま現代のマネー記事の目次になりそうです。家計を見直すとき、昔の知恵を一つまみ加えてみてはいかがでしょう。
ことわざの知恵を毎日少しずつ。ことわざパズル「ことばあて」もどうぞ。