11月は、秋から冬へ移る月です。朝晩の冷えこみに、ふと冬の気配を感じる日も増えてきます。この月にまつわる言葉を4つ、意味と由来とともに紹介します。
小春日和(こはるびより)— 春ではなく、初冬の暖かい日
「小春日和」は、春の言葉ではありません。文化庁は、晩秋から初冬の頃の、穏やかで暖かな天気のことだと説明しています。
もとになっているのは「小春」という言葉です。春のように暖かい様子が「小春」と呼ばれ、それが陰暦10月の別の呼び名にもなりました。陰暦10月は、いまの暦でおおよそ11月から12月上旬にあたります。兼好法師の『徒然草』にも、陰暦10月を「小春の天気」と書いた一節があります。
ただ、「春」の字の印象は強いようです。文化庁の平成26年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味の「初冬の頃」を選んだ人が51.7%、「春先の頃」を選んだ人が41.7%でした。20代以下の若い世代では、「春先の頃」を選んだ人のほうが多かったそうです。
11月の、風のない暖かな晴れの日。そんな日にこそ使いたい言葉です。
霜月(しもつき)— 11月の呼び名
11月の和風の呼び名は「霜月」です。国立国会図書館は、その意味を「霜の降る月」と紹介しています。
気をつけたいのは、和風月名がもともと旧暦の呼び名だということです。国立国会図書館によると、いまの暦にあてはめると、季節感が1〜2か月ほどずれます。実際に霜が降りはじめるのは、地域によってはもう少し先かもしれません。
明治時代の辞典『諺語大辞典』には、「霜降月(しもふりづき)」という呼び方も、11月の異名として載っています。
立冬(りっとう)— 2026年は11月7日
暦の上で冬が始まる日が「立冬」です。二十四節気のひとつで、国立天文台の暦要項によると、2026年の立冬は11月7日です。続いて11月22日が、同じく二十四節気の「小雪(しょうせつ)」です。
まだ紅葉が見ごろの地域も多い時期ですが、暦の上ではここから冬に入ります。
霜を履んで堅氷至る(しもをふんでけんぴょういたる)
最後は、11月の空気にぴったりの故事成語です。
霜を踏むようになれば、厚い氷が張る季節ももうすぐ。そこから、小さな兆しが見えたら、大きな変化に前もって備えよ、という意味で使われます。
もとは中国の古典『易経』にある「履霜堅氷至」という言葉です。明治43年の『諺語大辞典』も、この言葉を「霜を踏めば日ならずして堅氷を見る時至るべければ、かねて用心すべしとの意」と説明しています。
冬の備えにも、そのまま当てはまる言葉です。暖房器具の点検や、停電に備えた明かりの確認。本格的な寒さが来る前、霜が降りはじめる今が、ちょうどいい頃合いなのかもしれません。
冬の入り口で
暖かな小春日和の日も、霜の降りる朝も、11月にはどちらもあります。行きつ戻りつしながら冬に近づいていく季節を、言葉といっしょに味わってみてください。
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出典
- 文化庁広報誌「ぶんかる」言葉のQ&A 013「『小春日和』はいつ頃の天気か。」(2018年5月9日、文化部国語課)— 小春日和の意味(晩秋から初冬の頃の穏やかで暖かな天気。春の天候ではないこと)、春のように温暖な様子が「小春」と呼ばれ陰暦10月の別称となったこと、陰暦10月がおおよそ11月から12月上旬にあたること、『徒然草』155段の一節、平成26年度「国語に関する世論調査」の結果(初冬の頃51.7%・春先の頃41.7%、20代以下の若い年代では春先の頃が多く選択されたこと)を確認(2026年9月30日 確認) 文化庁広報誌「ぶんかる」…』はいつ頃の天気か。」
- 国立国会図書館「日本の暦」和風月名 — 11月=霜月(霜の降る月)、和風月名は旧暦の季節や行事に合わせたもので現在の季節感とは1〜2か月ほどのずれがあること、由来には諸説あることを確認(2026年9月30日 確認) 国立国会図書館「日本の暦…月名 — 11月=霜月
- 国立天文台暦計算室「令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節」— 立冬が11月7日(18時52分)、小雪が11月22日であることを確認(2026年9月30日 確認) 令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節
- 『諺語大辞典』藤井乙男 編/有朋堂/明治43年(1910年)(国立国会図書館デジタルコレクション。公開範囲はインターネット公開〈保護期間満了〉) 霜ヲ履ンデ堅氷至ル
- 霜を履んで堅氷至る: コマ269・ページ505「霜ヲ履ンデ堅氷至ル」の項。意味(霜を踏めば日ならずして堅氷を見る時至るべければ、かねて用心すべしとの意)と、出典として『易』の「履霜堅氷至」を挙げていることを確認
- 霜降月: 同ページ「シモフリ月」の項。十一月の異名としていることを確認(2026年9月30日 確認)