火の元に気をつけましょう、とはよく言われます。ただ、「どの火の元から」までは、あまり言われません。台所でしょうか。それとも、暖房でしょうか。
数字を見ると、思っていた順番とは少し違います。ただし、その数字が「何を数えたものか」も、あわせて見ておく必要があります。
令和6年の全火災では、たばこが最も多い
総務省消防庁の令和7年版消防白書は、令和6年中の主な出火原因別の出火件数について、こう書いています。
出火原因別にみると、たばこが3,058件と最も多く、次いでたき火が2,781件、こんろが2,718件となっている
これは令和6年に起きた全火災、つまり住宅以外の建物・林野・車両なども含めた数字の順番です。こんろを思い浮かべた方は、この集計では3番目ということになります。
ひとつ、注意があります。消防庁は令和7年(1〜12月)の火災についても概数を公表していて、そちらの全火災の出火原因は、たばこ3,479件、たき火3,303件、電気機器3,240件、こんろ2,850件の順です。こんろは4番目に変わっています。概数は今後の調査によって変わり得る数字なので、この記事では確定値である令和6年を中心に説明します。
全火災の件数と、住宅防火の重点は分けて読む
ここからが、この記事でお伝えしたいところです。
消防庁は、住宅防火の案内でこう書いています。
死者の発生した住宅火災の主な原因は、たばこ、ストーブ、こんろです
白書の順位は、住宅以外も含む全火災の出火件数です。いっぽうこちらは、死者の発生した住宅火災の主な原因で、数えている対象がそもそも違います。この3つを順位の順に並べた資料ではありませんし、全火災で2番目だったたき火が住宅火災で何番目になるかを示すものでもありません。
つまり、どちらかが正しくて、どちらかが間違っている、という話ではないのです。全火災の件数の順番だけで、家の中の備えの優先順位を決めないほうがよい、ということです。家の中の話としては、消防庁がたばこ・ストーブ・こんろを挙げている、という事実のほうを受け取っておく価値があります。
そして、そのストーブを出す季節が、これから来ます。
件数では3割、亡くなった方では7割
消防庁の住宅防火のページには、条件をそろえた数字が載っています。
令和6年中の出火件数37,141件中、住宅火災が11,839件(約3割)ですが、死者数は、1,451人中、住宅火災が1,109人(約7割)を占めています
件数では3割ほどの住宅火災が、亡くなった方の数では7割を占めます。消防庁自身が「火災死者の約7割は住宅で発生!」と見出しを付けて注意を呼びかけている部分です。
消防庁が示している「4つの習慣・6つの対策」
消防庁は、住宅での火災について「住宅防火 いのちを守る10のポイント〜4つの習慣・6つの対策〜」という案内をまとめています。火を出さないことだけでなく、早く気づくことと安全に逃げることまで含めた内容です。
「4つの習慣」は、寝たばこは絶対にしない・させない、ストーブの周りに燃えやすいものを置かない、こんろを使うときは火のそばを離れない、コンセントはほこりを清掃し不必要なプラグは抜く、の4つです。
「6つの対策」には、安全装置の付いた機器を使う、住宅用火災警報器を定期的に点検して10年を目安に交換する、部屋を整理整頓して寝具・衣類・カーテンに防炎品を使う、消火器等を設置して使い方を確認しておく、お年寄りや身体の不自由な方のために避難経路と避難方法を確保しておく、といった項目が並びます。
住宅用火災警報器とコンセントのほこりについては、当サイトでも別の記事で取り上げています。この案内は、その両方を同じ一覧の中に置いているものだとお考えください。
今日できること
全部を今日終える必要はありません。今日は、家の中にある火の元をひとつ選んで、すぐできる確認から始めてみてください。
- たばこ——寝たばこはしない。灰皿の近くに、燃えるものが置かれていないか
- ストーブ——周りに燃えやすいものを置かない。今年の冬に出すのは何台か、置き場所はどこか
- こんろ——使うときは火のそばを離れない。ふきんや紙袋が近くにないか
あわせて、住宅用火災警報器がちゃんと鳴るかをボタンで確かめ、玄関や廊下など逃げる道をふさいでいないかも見ておきます。火の元を数えるだけで、対策が済むわけではありません。
暖房を出す前のいまは、冬に使うストーブについて考えるのに、いちばん都合のよい時期です。押し入れから出す前に置き場所のまわりを片づけ、使うときも燃えやすいものが近くにないか確かめましょう。
火災への備えは、火を出さないための習慣に加えて、万一のときに早く気づき、安全に逃げられるようにしておくことまでを含みます。
出典
- 総務省消防庁「令和7年版 消防白書 4.出火原因」(原文「出火原因別にみると、たばこが3,058件と最も多く、次いでたき火が2,781件、こんろが2,718件となっている」、および令和6年中の出火件数3万7,141件を確認。2026年9月22日 確認) 令和7年版 消防白書 4.出火原因
- 総務省消防庁「令和7年(1〜12月)における火災の概要(概数)」(令和7年の全火災の出火原因別件数がたばこ3,479件・たき火3,303件・電気機器3,240件・こんろ2,850件の順であること、および「現在までに報告された内容に基づいて集計した結果を概数値としております。なお、今後の火災の調査の状況によって、この数値は変わり得ます。」旨を確認。2026年9月22日 確認) 令和7年(1〜12月)における火災の概要(概数)
- 総務省消防庁「住宅防火関係 住宅用火災警報器を設置しましょう!」(原文「死者の発生した住宅火災の主な原因は、たばこ、ストーブ、こんろです。」、および「令和6年中の出火件数37,141件中、住宅火災が11,839件(約3割)ですが、死者数は、1,451人中、住宅火災が1,109人(約7割)を占めています」を確認。2026年9月22日 確認) 住宅防火関係 住宅用火災警報器を設置しましょう!
- 総務省消防庁「住宅用火災警報器Q&A」(「住宅防火 いのちを守る 10のポイント〜4つの習慣・6つの対策〜」の各項目の文言を確認。2026年9月22日 確認) 住宅用火災警報器Q&A