冬は洗濯物が乾きにくい季節です。部屋干しをして、少しでも早く乾くようにと、ストーブの近くにハンガーを掛けたくなる日もあると思います。
ところが、この「ついでに乾かす」が火事の入口になることがあります。製品の事故を調べている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、石油ストーブの上に干していた洗濯物が落ちて火が出る様子を、再現実験の映像で公開しています。
乾いたから、落ちる
NITEの解説によると、乾いて軽くなった洗濯物があおられて石油ストーブの上に落ち、火事になった事例が報告されています。
NITEの別の解説では、ストーブの上方に干した洗濯物は、洗濯ばさみで留めたつもりでも、ストーブが起こす上昇気流や、ドアの開閉による空気の動きで、乾いて軽くなったところをあおられ、ストーブの上に落ちて火が付くと説明しています。乾いたあとも、安全になったわけではありません。
再現映像では、00:18に発煙、00:37に発火と表示されています(専門家が行った実験です)。映像の上では1分に満たない時間ですが、実際の経過はストーブや布などの条件で変わり、同じ時間になるとは限りません。
NITEは、石油ストーブの上で洗濯物を干すことは「絶対にやめてください」としています。
「火が見えない」電気ストーブも同じ
電気ストーブなら炎が出ないので安心、と思いがちです。
消防庁の消防研究センターは、電気ストーブは「火を使わない」ために火災の危険が意識されにくく、燃えやすい物との距離が、条例で決められた距離より短くなってしまう人が多いという調査結果を紹介しています。
さらに、つけっぱなしにしていると、近くにある燃えやすい物に熱が伝わり続け、その物の温度が上がり続けて、燃えはじめる温度に達したときに燃えだす、と説明しています。炎がなくても、熱は物を燃やします。
気をつけたい4つのこと
NITEは、電気ストーブで事故につながらないためのポイントとして、次の4つを挙げています。
- ストーブの上で洗濯物を乾かさない
- 取扱説明書を確認し、物から十分に離す
- 寝るときや、その場を離れるときはストーブを消す
- ペットがいるときは、プラグを抜いて、触れない場所にしまう
これは電気ストーブ向けの案内です。ただ、ストーブの周囲や上方に洗濯物を干さないこと、燃えやすい物を近くに置かないこと、寝るときや出かけるときに消すことは、消防庁もストーブに共通する注意として案内しています。NITEも、電気と石油の暖房器具に共通して、壁や燃えやすい物との距離を十分にとり、洗濯物は乾かさないよう呼びかけています。
どれくらい離せばいいのか
「十分に離す」の距離は、ストーブの種類や形によって違います。NITEが「取扱説明書を確認し」と書いているのはそのためです。
消防研究センターによると、ストーブなどの取り扱いは、市町村の火災予防条例で決められています。細かい決まりは市町村ごとに違うので、まずは手元の取扱説明書を見ること、気になればお住まいの市町村の消防の案内を確かめるのが近道です。
今日できること
ストーブを出したら、一度だけ見回してみてください。
- ストーブの上や周囲に、洗濯物やタオルを干していないか
- カーテン、布団、ソファなどの燃えやすい物が、取扱説明書に示された距離より近くにないか
- 寝る前・出かける前に消す習慣があるか
部屋干しをするなら、ストーブの上や周囲を避け、取扱説明書に示された距離を守ります。乾くまで少し時間はかかりますが、ストーブから洗濯物を離すことで、触れたり落ちたりして火が出るおそれを減らせます。
出典
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「石油ストーブ『11.洗濯物の落下』」(冬は洗濯物が乾きにくい季節だが石油ストーブの上で干して乾かすのは危険であること、乾いて軽くなった洗濯物があおられ石油ストーブの上に落下し火事になった事例が報告されていること、「石油ストーブの上で洗濯物を干すことは絶対にやめてください」との記載、再現映像の00:18発煙・00:37発火の表示と、専門家による実験である旨の注記を確認。2026年9月29日 確認) 石油ストーブ『11.洗濯物の落下』
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全教育DVDハンドブック(石油ストーブの事故)」(ストーブの上部に洗濯物を干すと、洗濯ばさみで留めたつもりでも、ストーブが起こす上昇気流やドアの開閉により流入する空気の動きによって、乾いて軽くなった洗濯物が煽られストーブの上に落ちて火が付くこと、落下の事故は電気ストーブやガスストーブでも発生していることを確認。2026年9月29日 確認) 製品安全教育DVDハンド…(石油ストーブの事故)
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「電気ストーブ『9.可燃物接触(事故につながるNG4選)』」(ストーブの上で洗濯物を乾かさない、取扱説明書を確認し物から十分に離す、就寝時やその場を離れるときはストーブを消す、ペットがいるときはプラグを抜いて触れない場所に保管する、の4点を確認。2026年9月29日 確認) 電気ストーブ『9.可燃物…につながるNG4選)』
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「ストーブとの程よい距離感が大切です ~『電気』『石油』暖房器具の事故を防ぐ4+1のポイント~」(電気暖房器具と石油暖房器具に共通する使用中の注意として、暖房器具と壁や可燃物との距離が十分に確保できているかを確認する(洗濯物は乾かさない)との記載を確認。2026年9月29日 確認) ストーブとの程よい距離感…防ぐ4+1のポイント~
- 総務省消防庁「消防の動き」2026年1月号「ストーブの安全な取扱いについて」(ストーブの近くに布団・座布団や衣類など燃えやすいものを置かない、ストーブの周囲や上方に洗濯物を干さない、就寝時及び外出時はストーブを消す、との記載を確認。2026年9月29日 確認) 総務省消防庁「消防の動き…安全な取扱いについて」
- 消防庁消防大学校 消防研究センター「火気器具等の取扱いについて」(火気器具等の取扱いが消防法第9条に基づき市町村条例で規制されていること、電気ストーブは「火を使わない」ことで危険性が認識されにくく可燃物との距離が条例の離隔距離より短くなる人が多いという調査結果の紹介、つけっ放しにすると可燃物の温度が上がり続け発火温度に達すると燃えはじめるとの説明、詳細は市町村の条例を確認するよう案内していることを確認。2026年9月29日 確認) 火気器具等の取扱いについて